09:そして、捕まえる
  掴んだ手の温度は変わらず
  あの時のあなたが彷彿と浮かびました

  気付かないふりをした時間の歩みを
  振り払い また重ねた掌
  そっと

  震えているのです
  幻からは遠くて
  思い出にしては薄くて
  痛みは擦り切れて
  震えているのです
  互いの熱が 怯えるように

  微かに零れた呼吸だけが生きて揺れて
  それから 漸く
  込み上げる

  つかまえた

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