06:そして、夢を見る 何年も 握っていた手を ふたり離して それは綺麗に昇華されていく 最後の雨はふたりの掌に消えていった 悲しみが微笑むのを知った日 幸せの在り処を教えてくれたのは いつも悲しみだった 幸せの探し方を教えてくれたのは いつもあの人だった 誰もいない夜 冷たい部屋 いつからか見ていなかった夢を見る 浅く漂う 沈まぬ意識が繕う影は 幾度となく あの人の振りをする